見直されつつある和室の良さ
畳が敷いてあって砂壁でふすまと障子で区切られていて床の間があって……という古式ゆかしい和室ほどではないにしても、「和室」として畳の敷かれた部屋がある建築は、少なくなっては来てもまだまだあるものです。
とはいえ重たい洋風のいすやテーブルが置けないから、時々寝転がる程度にしか使われてない、なんてよくあることだと思います。
しかし和室は日本の気候風土に根付いたしつらえです。機能面では夏涼しく冬暖かく、湿度も適度に調節してくれます。そして色遣いや風合いに何となく癒しを覚えるのも、立派な和室の効果です。
そんな和室を活かし、生活に取り入れるコーディネートをしてみませんか?
和室のインテリアを選ぶポイント
和室のインテリア、と言われても、とっさに思いつくのはちゃぶ台と和箪笥くらいではないでしょうか。
ですがポイントを押さえれば洋風の家具でも意外にマッチするものは多くあります。そういったコーディネートを特に「和モダン」と呼んだりしますね。
今回ご紹介する3つのポイント。これらを押さえておけば初心者でも比較的簡単に和モダンな空間を作り出せます。
ポイント1:「和室=床に座る」ということ
和モダンをテーマに紹介されている部屋はネット上に数多あります。ですが中には「床が畳だというだけの洋室」と言っても差しさわりない部屋になっているものを見かけることも多々あります。それはなぜでしょう。
和室の構造は、「床に座って」生活することを前提に練り上げられてきたものです。床に座った時点の目線の高さでちょうど良いように、窓や天井が作られているのです。
その和室にただソファやチェアを置けば、ちぐはぐになるのは当然と言えます。
逆に言えば、この「床に座った目線」を意識するだけで、洋風のインテリアも違和感なく和室になじませることができるわけです。
具体的には高さは床から1m程度まで。それを超えると、床に座って見ると圧迫感を覚えてしまいます。
ポイント2:和室を使うシーンを考える
次は、その部屋を「何に使うのか」です。
くつろぎのスペースなのか、趣味の時間に充てるのか、はたまた寝室にするのか……。
畳の手触りや香りなど、和室には日本人の心を穏やかにする効果があるのでそれを大事にしたいですね。新しい青い畳を張り直して、清浄な雰囲気で仕事をするのもいいかもしれません。
目的(コンセプト)を絞るのは、どんなコーディネートにおいても大事なことですので、ここはしっかり決めておきましょう!
ポイント3:色・素材選びのコツ
基本は原色を避け、彩度の低い緑(モスグリーンなど)や木目調を主に使うといいでしょう。茶系の色は柱や梁の色に合わせるか、やや暗めにするといいでしょう。
白を使うなら紙、特に和紙の色を意識すると違和感なくなじみます。
黒は黒檀や漆のような木の黒はもちろんのこと、粉体塗装(表面がざらざらした塗装)の鉄製の装飾品なども意外となじみが良いですよ。
【最新版】和室を彩る和モダンインテリアおすすめ五選!
それではいよいよ、無数にある和モダンインテリアの中から、たいていの和室になじむ美しくて使いやすいものを5つ、厳選してご紹介します!
8号鉢用 鉢カバー(ライトブラウン)
……ここまでの流れをいきなり無視して観葉植物を置け、という話ではありません。
この鉢カバーはゴミ箱として使うのです。
ゴミ箱はどの部屋にも必要なものですが、和室の雰囲気を壊さないものというと限りがあります。かと言って和室用のごみ箱は意外に存在感の強いものが多いのです。
この鉢カバーであれば、形も凝ったものではありませんから悪目立ちしませんし、もともと室内用なので底面の仕上げも畳や板の間を傷つけにくいです(ゴミ箱として使うならそこまで重くならないので下に何か敷く必要はありません)。造りもしっかりしています。
サイズは8号用(最大直径28cm程度)ぐらいがちょうど良いかと思います。内側に袋を入れて使いましょう。
セルタン モダンクッション 「SWEETS」 カシコンブラウン ラウンド
床に座るうえで必要になるのが座布団ですが、和モダンならフロアクッションという選択もアリです。
クッションと名前がついていますが座るためのものなので、普通にイメージされるクッションより固く、しっかりとお尻を支えてくれます。胡坐や正座が得意でない方でも、和室でくつろいで座れます。
カバーもざっくりとした生地で手触りが良く、季節も問いません。男性の部屋にあっても甘すぎないのもいいですね。
スクエア(四角)タイプもありますが、ラウンドタイプのほうが座りやすいのでおすすめです。女性受けも悪くありませんよ!
ロウヤ 座椅子(ハイバックタイプ)
座布団もいいけど背中を預けてくつろぎたいなら、ハイバックタイプの座椅子がお勧めです。
背面はもちろん膝とヘッドレストも多段階調整ができるので、一番楽な姿勢を保つことができます。
カバーもポリエステルで傷みにくく、肌触りも良いので年中使えます。
ただ、座布団やフロアクッションと違い機械的な骨格が入っている分、畳などを傷める可能性があります。ラグなどを敷いて使えば安心でしょう。
LINGKAI(リンカイ)ベッドサイドランプ
おしゃれなインテリアコーディネートに欠かせないものといえばやはり、間接照明ですね。
間接照明とは、光を壁や天井に当てて、その反射光でぼんやりとあたりを照らすもののことを言いますが、和室でそれをやると少しわざとらしさが出てしまいます。
和室の間接照明といえば、行燈のように光源を紙(あるいはそれに似せた素材)で覆って柔らかい光で照らすタイプが一般的です。
テーブルや棚に置いてもいいですが、せっかくなので床に置いてしまいましょう。床と壁を温かく照らしてくれるので、癒しの空間にピッタリです。
和風ついたて「和~nagomi~」
ついたて(パーティション)とは間仕切りであり、目隠しです。ワンルームを用途別に区分けする、見せたくないものを隠す、などに使われますね。
もちろんその用途に使ってもいいのですが、あえて背景素材として壁際に置いたり、その壁戸の隙間に明りを置いて間接照明にしたり、窓際においてカーテンの代わりにしてもいいですね。浴衣や和風の布をかけて部屋のアクセントにする、なんて使い方もあります。
障子タイプですが張地は不織布ですので傷みにくく、交換も必要ありません。お値段もお手頃で、ちょっと存在感のあるインテリアが欲しいなら、悪くない選択ではないでしょうか。
4連(四つ折りになるタイプ)もあるのですが、心理的に真ん中の折り目に目線が集まりやすいので、飾りとして使うなら3連がちょうどよいかと思います。
まとめ
いかがでしたか?
持て余している和室を再生させるのはもちろん、板の間を和風にアレンジするにも役立つアイテムばかりだったかと思います。
是非、「あなたの」和室、和空間をコーディネートしてみてください。今回ご紹介したポイントを押さえれば、意外に簡単に、あなたの生活が畳の上にも広がると思いますよ。